2025.07.04
金沢のおさかな(甘エビ編)
金沢へ旅行にいらっしゃった方が、ひとくち召し上がって感動する魚介類の一つが甘エビ。
甘さが全然違う、やっぱり北陸は違う、と唸る海産物です。
お寿司屋さんでお任せで握っていただくと大体入ってくるのがこの甘エビ。この土地が誇る美味しい海産物です。
そんな甘エビ、年柄年中あるわけではなく、市場から消える時期があるのをご存じですか?
3月から4月にかけて地物の甘エビは脱皮をしたり産卵の時期になるため、おすすめ出来ません。桜の時期に茶懐石の向付に使いたいとオーダーが入ることもあるそうですが、そんな時には丁重にお断りするそうです。 お茶席は季節の先取りをされたいでしょうから、さもありなんご注文です。
この記事の甘エビの握り画像は、6月上旬にお寿司屋さんに行った時の写真です。食通が好む卵を抱いた甘エビが美味しい時期に入るため、ねっとりと甘く、さすがの味わいでした。
獲らないということならば、蟹の時期に甘エビはあまり有りません。書き入れ時には蟹漁が優先されるためです。
例年、金沢の蟹の解禁は11月6日。その翌日、7日から一般販売が始まります。
香箱蟹(雌のズワイガニ)は12月いっぱいまで、加能蟹(雄のズワイガニ)は3月いっぱいまでの漁期ですが、その時期は漁師さんが蟹場に行くことを優先するため、甘エビが少なくなります。
よく、お歳暮の時期に、美味しい蟹と甘エビをセットで、というご注文があるようですが、毎回魚屋さん達は「この時期は甘エビが少なくて・・・」とお話をなさるそうです。ちなみに金沢の甘エビの旬は9月から2月までと言われています。
金沢の魚屋さんは真摯でいい仕事をなさります。びっくりするほど誠実に対応してくださるので、お住まいの地域でご贔屓の魚屋さんを見つけられたら金沢生活がより楽しくなること請け合いです。旅行でいらした方も、お土産で迷うことがあったら、魚屋さんにふらっと立ち寄って相談してみると、意外な掘り出し物を見つけられるかも知れません。
食は文化です。
お魚のことはお魚のプロ、魚屋さんへ。