2025.08.12
金沢のおさかな(コゾクラ編)
夏場の金沢で好んで食べられるコゾクラ。
全長10センチから20センチくらいのブリの稚魚を煮付けて食べる。
煮付けを冷やすと煮こごりが出来て、それはそれで美味しい。
金沢では、ブリをよく食べる。
ブリは出世魚で、各地でそれぞれの段階の魚体の呼び名は違う。
7月8月は底引き網が禁漁期間で魚が少ないので、定置網や刺し網にかかる魚を土地の人は食べる。その中にコゾクラもある。
丁度北國銀行の花火の日に、大きなコゾクラが手に入って煮付けてみた。花火の日にコゾクラ、夏の風物詩である。
又、今年のお盆の時期、線状降水帯が発生し数日続いた時化で殆ど魚がなかった時にも、コゾクラの水揚げはあった。
このコゾクラが5㎏程の魚体になったものがフクラギである。
金沢おさかな普及協会の捌き方教室では、基本フクラギを捌くが、これを捌くことが出来たら、他の魚も大体捌ける。あまり大きいと捌きにくいが小さ過ぎるのも捌きにくい。
捌き方教室が秋に集中しているのは、秋がフクラギの旬だからに他ならない。
そして、冬になると、ブリのシーズンだ。
立派な大きなブリを年末に贈り合う風習が西日本の各地にある。そもそも、西の地域は年越し魚としてブリが珍重される。東の地域では鮭がその代わりとなる。
石川県、富山県では、結婚後初めてのお歳暮に新婦の実家から嫁ぎ先の実家にブリを1本送る習慣がある。それを送られた嫁ぎ先では半身を新婦の実家へ返し、双方そのブリをご近所の方にも配る。
贈られるブリは大きくて立派なのがよしとされる。
自分の所の娘の「嫁振りがよくなりますように」「娘婿が出世しますように」と出世魚のブリを送るのだ。
ちなみに福岡県をはじめとする九州北部や山陰地方でも「嫁ブリ」という贈答文化があり、嫁いだ年の年末のご挨拶として、「いいお嫁さんをもらいました、ありがとう」と、こちらは反対に嫁ぎ先から新婦の親に向けて「よか嫁ぶり」を掛け合わせて御礼の意味で送る。
他にも熊本県や大分県、山口県や岡山県でも嫁ブリの風習があるとされている。
みんなが大好きなブリを贈り合い、笑顔で過ごすお正月は豊かで楽しい。縁起の良い魚としてブリは珍重されている。
■代表的な呼び名の例
東北:ツベ→イナダ→アオ→ブリ
金沢:コゾクラ→フクラギ→ガンド→ブリ
関東:モジャコ→ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
関西:ワカナ→ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ
九州:ワカナゴ→ヤズ→ハマチ→メジロ→ブリ